白山比咩神社の「豊年講寄稿「水清きを以って貴し」」を掲載しています。

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豊年講寄稿

(平成25年3月)

水清きを以って貴し

手取川七ヶ用水土地改良区 副理事長  黒山 茂

黒山 茂 「霊峰白山」を源とする清らかな川の流れが勢いを増し、萌え立つ春気を感じます。その恵みは手取川となり、七ヶ用水、宮竹用水を経て穀倉加賀平野が形成されています。国民的な食料の安定供給はもちろん、防火、消雪、景観・親水など、宅地・都市化が進む流域住民の暮らしをも支える恩恵の大きさに思いを馳せております。
私は今、半世紀前を思い起こしています。昭和38年(1963)の夏でした。青雲の志を胸に、明るく活力ある地域社会の構築に向かって青年団活動に没頭していました。
東京オリンピックを翌年に控えて、日本青年団協議会が全国の国立公園の美化奉仕登山を提唱しました。白山は国立公園に昇格したばかり。石川県青年団協議会も賛同し、7月13日から3日間、参加団員250名を2隊に分けて白山に送り込んだのです。私も実行委員会の1人として参加しました。
不動の水場で棟柱を建てる奉仕隊(昭和38年) 小雨が続く中、隊員たちは、「ごみを捨てない、来た時よりもきれいに」と書かれた標柱や、くずかご、スコップ、ツルハシを分担して抱え、砂防新道、観光新道の2班に分かれて室堂へ向かいました。登山道の要所要所に美化標柱、くずかごを設置しながらの登山でした。我々の手で白山をきれいにしよう≠ニ力を合わせた奉仕作業を通じて、自然保護の大切さ、1人ひとりが力を合わせて1つの目的に向かって進む力強さを学びました。
そして25年後。今度はボーイスカウト・カブ隊(小学生対象)の子らと白山に登りました。その時、白山比咩神社の神職さんが「白山がごみ一つない日本一きれいな山になったのは、国立公園に指定された時の美化奉仕登山がきっかけになったのです」と話されたのです。大変うれしく思ったことでした。

山は高きがゆえに貴からず
樹深く水清きを以って貴し

白山がきれいな山である限り手取川流域は、水清く住みよい地域として栄えることでしょう。
さて本年から、農林水産省が築75年を経た手取川の「白山頭首工」の改修に着手、8年後に工事完了の予定と発表しました。白山頭首工は、七ヶ用水と宮竹用水の手取川からの取水口となる用水堰であり、手取川扇状地のほぼ全域に農業用水を供給している重要な施設です。
この改修は、農業用水の安定供給と設備の安全性の飛躍的な向上につながります。予定通りの工事の無事完了を祈る次第です。

白山頭首工

この度、豊年講春季大祭を迎えるに当たり、白山の大神様のご加護のもと霊峰白山の清らかなお水を頂き、今年も実り豊かな秋を迎えられますよう、お祈り申し上げます。