白山比咩神社の「豊年講寄稿「水利は命脈なり」」を掲載しています。

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豊年講寄稿

(平成28年3月)

「水利は命脈なり」

手取川七ヶ用水土地改良区 副理事長  宮西 豊

宮西 豊 豊かな水を送り続けてくれる「命の親神様」霊峰白山の峰々が雪化粧し、穏やかな幕開けを迎えた平成28年丙申年。「白山の峰のいや高に、手取の川のいや遠長に張り広めしめたまい」村山宮司の祝詞が深厳の森に朗々と響き、白山比咩神社の元旦は、新年初祈祷の善男善女で大変な賑わいを見せていました。かくも大勢の信者に愛されるとは、誠に霊験あらたかな親神様であります。未来永劫「命の水」を守る親神様として益々大きなご加護を祈願するばかりであります。
さて、我々土地改良区は、古宮公園に守護神として水戸明神を祀り、管理する農業水利施設は、県下最大の穀倉地帯である石川平野の広大な水田を潤すことにより、「安全・安心」な食糧の安定供給に寄与しています。また、扇状地の隅々まで張り巡らされた農業水路は、灌漑用水の供給とともに豊かな自然環境美しい景観の保全はもとより、防火、融雪、地下水の涵養など多面的な機能を発揮して、「地域用水」として人々の暮らしを支えています。

しかしながら、農村地域では住宅開発や工業団地の進展に伴い、洪水被害が増加しています。折しも、昨年春先に手取川上流で発生した大規模な斜面崩落により、濁水が発生し、農業、漁業、地下水に大きな被害をもたらしました。幸い、関係機関の速やかな応急工事により、現在は小康状態を保っていますが、今後とも注意深く監視する必要があります。自然災害の脅威を目の当たりにし、改めて「水利は命脈なり、生かされて生きる」の意義を思い知らされた1年でありました。
土地改良区の役割には国土を守る使命があります。石川平野の水路網のように隅々まで血の通った地域共同体の形成に少しでも貢献し、地域の人々に愛され、守られてゆく「地域用水」であり続けるよう努めてゆく覚悟です。今後とも、ご支援ご協力お願い申し上げます。
結びに、本年10月25日「第39回全国土地改良大会石川大会」が金沢にて開催されます。農業農村整備事業の重要性を広く国民にアピールし、石川の歴史、伝統、文化の魅力を発信したいと思います。
また、3月3日には、恒例の豊年講春季大祭が斎行されます。豊年講は、白山、手取川によって生かされている農民の「命の水」に対する感謝の象徴です。皆様と共に、平成28年度の五穀豊穣、農事安全を祈願申し上げます。