白山比咩神社の「シリーズ企画 自然と生きる④「白山の恵みが築いた礎を基に地域を支える製品をつくる」」を掲載しています。

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シリーズ企画 自然と生きる④
「白山の恵みが築いた礎を基に地域を支える製品をつくる」
−小池田康成(やすしげ) 北都鉄工(株)会長を訪ねて−

(令和2年7月)

当社とご縁のある中から、自然を敬い、慈しみながら、日々の生業を営む方々の姿をご紹介します。

北都鉄工(白山市福留町)

昭和9年に「北都電気溶接所」として金沢市で創業。昭和60年には現在地に本拠を移し、大型鋼構造物のメーカーとして事業を拡大しました。工場や発電所などで用いられる大型クレーンのほか、橋梁や水門の製造と現地施工、メンテナンスを手掛けており、活動の現場は石川県にとどまらず、全国各地に広がっています。

(写真)数多くの大型製品を送り出してきた白山事業所の工場前に立つ小池田康成取締役会長


感謝の月参りを欠かさず

昭和60年、北都鉄工は金沢市から白山市(当時は松任市)福留町に現在の白山事業所を新築して、白山の山並みを間近に望む場所での製品づくりを開始しました。当時の社長だった小池田康成会長には、それ以前から白山比咩神社との深いつながりがありました。
将来の後継者として北都鉄工に入社し、35歳になった昭和47年、小池田会長は金沢青年会議所の理事長を任されます。全国から参加者が集まる地区大会の運営を取り仕切る際、白山比咩神社で成功を祈願したところ、盛況のうちに大会を終えることができました。そのお礼の意味で初めて訪れた「おついたちまいり」の場で、米沢電気工事の創業者であり、石川県議会議員も長く務めた米沢外秋さんと思いがけず顔を合わせたのです。
「経営者の先輩である米沢さんとは長いお付き合いでしたが、白山さんに毎月お参りされていたことは知りませんでした。『せっかくだから、お前も通ってみんか』とお誘いいただいて、それから月参りを欠かさなくなりました」と振り返ります。一緒に通っていた米沢さんが亡くなったあとも月初めの参拝を続けて、今や50年近くが経ちました。
すっかり欠かせない習慣となった「おついたちまいり」について、「年齢を重ねると、元気で参拝できること自体に喜びを感じます。日々神様からいただいている恩恵に感謝する気持ちでお参りしています」と語ります。月参りを通じて、白山比咩神社との関わりも深まり、昭和61年からは総代を務め、現在は総代会副会長として、神社を支える役割にも心を配っています。

(左)毎年欠かさず御田植祭に参列する小池田会長
(右)白山の山並みに見守られた白山事業所


白山麓の環境が成長を後押し


大型製品に適した立地

昭和60年に北都鉄工が工場を新設したのは、製造の主軸がクレーンや橋梁などの大型製品に移り、従来の工場では手狭になったことが理由でした。新工場の建設地は、敷地の広さや道路網の整備による交通アクセスの良さを基準に決定されました。
さらに小池田会長はこの建設地のもう一つのメリットについて、「地盤がとても頑丈でした。大きく重量のある製品を製造しても、工場が沈み込んだりする心配がなかったのはありがたいことでした」と明かします。移転後の北都鉄工が大型製品の製造と施工で数々の実績を重ねることができた背景には、手取川の下流に広がる扇状地ならではの安定した地盤の支えがあったのです。
現在は全国各地の現場に製品を送り出し、地元においても、北陸新幹線白山総合車両基地やコマツ金沢工場内のクレーン、金沢城公園鼠多門橋(ねずみたもんばし)の橋桁など、地域の発展につながる大型案件に多数携わっています。

金沢城公園の新たな目玉スポットとなる鼠多門橋。そのほかにも機能性やデザイン性に優れた橋梁の数々を手掛けています。


地域への貢献に誇り

そうした地域のインフラを築く仕事について、小池田会長は「当社の製品が地域に貢献し、歴史に残る存在となっていることは、事業における何よりの誇りです」と喜びます。
事業以外でも地域に貢献しようとする思いから、北都鉄工では今年から、持続可能な社会づくりを目指す「SDGs」の達成に向けて、社内農園での野菜栽培などの活動に取り組んでいます。その一環として、白山事業所内の井戸を有事の際に白山市民に開放する「災害時協力井戸」として登録しました。
白山からの地下水を引いている井戸は、工場内で水道と併用して使われています。水を含めた白山麓の恵まれた環境に対して、「白山を仰ぐこの土地に出てきたからこそ、私たちはここまで成長できました」と改めて感謝の思いを口にします。地域を支え、地域に支えられながら、北都鉄工の歩みはこれからも続いていくことでしょう。

(左)今年から白山事業所内に設けた社内農園。野菜栽培を通じて、SDGsの目標達成を目指します。
(中・右)コマツ金沢工場(中)の天井クレーンや自社構内に設置した橋型クレーン(右)など、多種多様な大型クレーンを製造しています。

記・中道大介(高桑美術印刷)