白山比咩神社の「シリーズ企画 自然と生きる⑧「創業者から積み重ねたつながりでまちと一体の成長を目指す」」を掲載しています。

トピックス

トピックス

トピックスの詳細

シリーズ企画 自然と生きる⑧
「創業者から積み重ねたつながりでまちと一体の成長を目指す」
−米沢電気工事・米沢寛会長を訪ねて−

(令和4年7月)

当社とご縁のある中から、自然を敬い、慈しみながら、日々の生業を営む方々の姿をご紹介します。

米沢電気工事(金沢市進和町)
昭和23年に「米沢電気工業所」として金沢市で創業。現在は発電所や送電線などの強電設備から通信や防災などの弱電設備まで幅広い領域の電気工事を手掛けています。また、ビル管理やメンテナンス、自動車販売・整備、タクシーなど、多彩な企業が参加する米沢電気グループを率いて、地域の振興やまちづくりにも貢献する事業活動を展開しています。

(写真)本社新社屋2階のリラクゼーションフロアに立つ米沢寛会長。社員のほか、災害時には地域の人々も利用できるスペースとして設けました。


月参りで知った神道の教え


令和4年5月、米沢電気工事の米沢寛会長は、通算70年続けた毎月の「おついたちまいり」特別崇敬者として、「崇敬者のつどい」で表彰を受けました。米沢会長は創業者である父親の外秋さんから引き継いできた月1回の参拝について、「当たり前に続けてきたことでしたので、そんなに長い年月が経っていたと聞いて驚きました」と振り返ります。
外秋さんが存命の頃から、その付き添いや代理として「おついたちまいり」に参拝していた米沢会長は、豪放な性格だった父親が、神前では礼儀正しく振る舞っていた姿が意外だったといいます。外秋さんは平成13年に亡くなりましたが、「父が熱心に取り組んできた行事を簡単にやめるわけにはいかない」との思いから、月参りは続けることに決めたそうです。
月参りでは知り合いの経営者と顔を合わせる機会も多く、やがて米沢会長自身にとっても欠かせない習慣になっていきました。神道の教えにも興味を持つようになり、中でも過去と未来の中間点である今一瞬を懸命に生きようとする「中今」の考え方については、「変化が激しい電気工事の業界において、今この瞬間にお客様が求める事業を追求していこうとする姿勢にも通じます」と強い共感をおぼえたそうです。
神社とのつながりを深めた米沢会長は、現在は白山比咩神社の崇敬者総代のほか、金沢市の尾山神社や石川護国神社の責任役員も務めています。「神社や神道とご縁をいただいた者の1人として、その歴史を絶やさないように力を尽くしています」と語る表情からは、日本や地域に息づく文化や伝統を支える責任感がにじんでいます。

(左)創業者・米沢外秋さんの銅像。月参りは外秋さんの代から続いています。
(右)「おついたちまいり」で参拝する米沢会長(左)。


まちづくりは会社づくり


米沢会長は神社を支えるほかにも、全日本電気工事業工業組合連合会の会長を務め、地元では金沢経済同友会の副代表幹事やJリーグ・ツエーゲン金沢の代表取締役社長など、社業のかたわらで数多くの要職を兼務しています。
「代わってくれる人がいないので辞められないんですよ」と笑いながらも、業界や地域の発展に尽力する役割を担い続けています。
米沢電気工事としても「都市(まち)が元気だから会社も元気」をスローガンに掲げ、海岸清掃や子どもの見守り、本社のライトアップなど、地域をより良くする活動の数々に、グループ全体で取り組んできました。米沢会長はスローガンの意味を「当社は金沢のイメージアップとともに、事業を全国に広げてきました。地域を盛り上げることがそのまま会社の発展を導くことを示しています」と説明します。 それらの地域活動には、グループ各企業の社員同士が会社の垣根を越えて積極的に参加しています。仲間と交流しながら、地元のまちを自分たちが誇れる存在にすることが、社員たちのモチベーションになっているのかもしれません。

(左)まちづくりと企業の関係について語った米沢会長。
(右)昨年完成した新社屋の周辺には緑が豊富に配されています。敷地の一角では、樹木や山野草など、さまざまな植物を栽培。


地域を潤す自然を守る


地域を支える活動の一環として、米沢電気工事では自然環境の保護や整備にも関わっています。再生エネルギーの導入や省エネルギーの提案、EV(電気自動車)の充電スポットの普及などの事業に取り組むほか、「よねざわの森」と名付けた森林を育てる活動も行っています。
昨年9月に完成した本社新社屋には、そんな自然を尊重した事業活動への思いも込めました。外壁にツタによる緑のカーテンを施し、敷地内には多種多様な草木を植えました。1階のエントランスに「よねざわの森」の杉、2階のリラクゼーションフロアに石川県産の間伐材を使って、地域の自然資源も活かしています。
「自然を守る活動は父が社長の頃から続けているんです」と明かした米沢会長は、「月参りのことも含めて、これまで続けてきた活動、重ねてきたご縁が今の私や当社を支えています。このつながりは末長く大切にしていきたいですね」との思いを語ってくれました。米沢電気工事は今後も激しく移り変わる時代と向き合いながら、地域とともに成長し続けていくに違いありません。

(左)金沢市郊外にある「よねざわの森」では、社員やその家族が定期的に草刈りなどをしています。
(右)米沢会長は石川県を本拠地とするプロサッカークラブ「ツエーゲン金沢」の社長も務めています。

記・構成・中道大介(高桑美術印刷)