
神道講話411号「世界の人々と懇(ねんごろ)に」
◆ はじめに
日本の縄文遺跡からは武器が出て来ません。これは、弥生遺跡とは真逆の平和な世界で争いがなかったからであります。
出雲の古代歴史博物館に於いては、銅の文化から鉄の文化の変遷が読みとれます。
これは宮崎駿の「もののけ姫」でも解るように、私達の先祖は自然を崇め、自然と共に暮らした縄文文化でもあり、日本人の多くにその縄文人の血が流れていると国立遺伝学研究所のデータが示していることからわかります。
現在の皇居は、江戸城の中にあり城壁に囲まれていますが、京都の御所は、塀も低く争い事を好まないことを表しています。
上皇陛下は、平成の時代に戦争がなかったことに安堵しているとお話しになっておられました。
※答えはページの一番下
◆ 日本文化
令和2年の今年は、東京オリンピックが7月24日から8月9日までの17日間、パラリンピックは8月25日から9月6日までの13日間開催される予定であります。
オリンピック憲章には「スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものである」と記されております。
日本の精神文化への尊敬と憧れは世界に急速に広がっています。日本神話の天の岩戸開きのごとく光をいただいたその瞬間、生の喜びに笑い合い、神々と共にある幸福を分かち合い、もてなし合いながら地域と人々の心が再生されてきた悠久の常若の国。その真髄は各国の人々にも普遍性をもって伝わるのではないでしょうか。
日本文化には深い精神性、美しさ、和の心、つながる力があります。今こそ自国に誇りをもって新しい時代の始まりに、文化大国日本を発信し、世界平和に寄与すべきものと考えます。
逆に言えば「必ずやり遂げよう」という強い意志がなかったということなのです。
◆ 異文化を受け入れる
外国から来た人々は、日本の異文化ショックに度々遭遇します。
日本人も外国文化にふれる毎に驚きを感じますが、自分の当たり前が他人の当たり前でないことを理解するには時間がかかりますが、違いを受け入れることで、その良さも分かるようになります。
自分とは違う価値観や考え方を持つ人や文化に対しては、自分の率直な感情を少し抑え、客観的かつ冷静に考えてみると相手の良さが見えてきます。
調べれば何でもわかる時代、どれが本当か、どれが本物かは自分が確かめてから行動する。相手を傷つけるような、誰かが傷つくようなことはしない。そして自分の行動や発言に責任をもつことが大切です。
神道(仏教)は、食事の際に会話をしてはならない。これは食材に感謝し、流通・調理の人々にも感謝し何よりも食材に生命を与えてくれた神仏に感謝することを意味します。だから「いただきます」なのです。
競技に参加する人々は自国を大切に、他の国々を理解することにつとめ競技をします。
私たち国民も相手国を重んじる心を忘れてはいけません。
開会式・閉会式・表彰式等に国旗を掲げ、国歌を斉唱する時も正しい礼儀を以て接することが大切です。
オリンピック・パラリンピックを迎え、国旗の掲げ方も知っておくことも大切です。
基本の掲げ方
一、国旗が旗竿(ポール)の最先端まで接するように掲げます。
二、国旗はおよそ日の出から日没まで掲げます。雨天の時は掲げません。
三、国旗の掲揚や降納のときは、起立、黙礼あるいは脱帽するなどして敬意を表します。
仮初めにも国旗を地面につけたり、足許(あしもと)に置いたりしてはいけないし、ましてや踏みつけたり、焼いたりすることはもっての外であり、時には戦争になったりしますので、決してやってはならないことです。
◆ むすび
近年「SDGs」(持続可能な開発目標)が各界から聞こえてきます。
貧困や教育、環境問題などは地球規模の問題であり、その国その国のルールやマナーを教えあい、日本では特に神様からいただいた命を大切に「いただきます」の精神で食べ残しをしない、ゴミの分別回収を徹底することでゴミの削減に取り組んだり、境内の緑化に取り組み、生物の生態系を守ることなど地域の氏子・崇敬者と共に協働した教育面での啓発活動などを実践したいものです。
具体的な実践は始まったばかりではありますが、理念や内容は昔からの宗教的要素そのものであり、神社も積極的に取り組む必要があると思います。
そして人権問題や平和環境を考える時に笑顔で接することが大切であると思います。
鉄鋼王のカーネギーのことばとして
「元手は不要、利益は莫大、与えても滅らず、受けた者は豊かに、一瞬見れば永久に、相手の記憶に残る、それが笑顔だ」
とあります。
オリンピック・パラリンピックを通して日本の文化、風習、慣習を広め、各国の良き所を受け入れ、清き礼儀をもって、平和な世界を目指しましょう。
【世界の国旗答え】
1. バングラデシュ人民共和国 2. フランス 3. ブラジル 4. ブータン王国 5. キューバ共和国 6. コンゴ民主共和国 7. タイ王国 8. ニュージーランド