神道講話429号「自然を学ぶ」
◆ はじめに
ヒトの世界は、文明の前に森林があったのに文明後に砂漠を残しました。つまり地球の環境というものを破壊に向かって変えてきました。
春を迎え、陽があたって山々の雪が溶けかかる時、降り積もった雪は、樹木の幹、根元から融けて木々を潤し、大地に浸透し川となって野に豊かな水を供給します。
ではその水は、どうして1年中人の手に入るのでしょうか。人間は大体1日で平均400リットルの水を使います。この量は、洗濯だとか掃除など、また無論飲み水など全て含めてのお話しであります。例えば東京都の人口がおよそ1300万人とすると、その人々が1日に400リットルずつ水を使うとしたら莫大な量になる訳ですが、疏水(そすい)を供給しているのが川であります。
ではその川が晴れた日も雪の日も、日照りの日も1年中水を流してくれているその川の大元は何でしょうか。
それは山に森があるからであります。
水源涵養(かんよう)林という貴重な森が水を貯めてくれているからです。
ではその水源涵養林は、どうやって水を貯めているのでしょうか。
それは落葉が幾重にも重なって地面を覆い、腐敗して半分土になりかけ、いわば巨大なスポンジ状になって水を吸い、貯めているおかげで年中水を涸らすことなく、下流の田畑や都市に水を供給するのであります。
真っ白い山々は、もうすぐ萌黄色から浅葱色に変わりますが、私達はどれだけ地球・自然を理解しているのでしょうか。
◆ 勝山自然塾
令和4年7月に勝山自然塾がオープンしました。福井県勝山市のスキージャム勝山の中で、北海道富良野自然塾の第六番目の分校になります。「富良野自然塾」は森の返還と環境教育の場として生まれました。
塾長倉本聰氏は閉鎖されたゴルフ場を元の森に還す「自然返還事業」と演劇的手法を用いたドラマチックな表現や仕掛けによるプログラムで地球環境を楽しく学ぶことができる「環境教育事業」を行っています。
46億年の地球の歴史を460メートルの距離に置き換えて、地球の壮大な物語と生物の進化をイラストなどを使いながら1メートル歩く毎に1000万年の時が流れ、最後の数センチで登場した我々人類の生き方を共に考えるために五感を使い、楽しみながら地球について学べる4つの体験型プログラムがあります。
「地球環境を学び、地球の未来を考えよう」
人間にとってなくてはならない酸素を供給する葉、水を供給する森の大切さを緑あふれる自然の中で学ぶ。
そして環境問題を自分ごとに体感できる機会です。
「自然の中で地球誕生の奇跡を知ろう」
マントルなどの内部構造を地球の模型を用いて説明しながら宇宙からの視点で地球の存在を解説します。
「奇跡の星・地球」の偉大さとその仕組みを学びます。
「46億年の歴史を辿りながら実感しよう」
地球誕生から46億年の歴史を460メートルの自然道で解説します。
誕生時の熱いマグマに覆われていた地球や恐竜が棲んでいた地球・氷河期の凍てついた地球などを体感しましょう。
「五感を研ぎ済まし、地球を体感しよう」
目隠しをし、裸足になって芝生や砂利、丸太などの上を歩くことにより五感で自然環境を感じてもらいます。
音や匂い、触感・・・様々な感覚で地球を再認識しましょう。
◆ むすび
先年職員研修旅行で富良野を訪れました。霊峰白山と北海道の自然は、地域性は違いますが、自然を体感し保護する意味では勉強するところ大でありました。
新富良野で宿泊、「北の国から資料館」や「五郎の石の家」を見学、夜は「森の時計」でくつろぎ、日中は廃止になったゴルフ場で植樹をしました。
もちろん4つのプログラム全てを体験し感動を持ち帰りましたが、その自然塾が、我が霊峰白山で開設されたと聞き早速出掛けてきました。
大自然を歩きながらインストラクターと共に地球について学ぶだけでなく私たちの子孫のため、未来のため地球上すべての生き物のため何をすべきかを考えてみませんか。
時あたかも白山市は「ユネスコ世界ジオパーク」に認定を待っています。白山の自然と共に文化・歴史を知る機会になればと思います。