白山比咩神社の「【書籍紹介】世界の水問題を共に考え、今できることから始めよう」を掲載しています。

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【書籍紹介】「水運史から世界の水へ」

(令和2年3月)
「水運史から世界の水へ」

世界の水問題を共に考え、
今できることから始めよう

書名「水運史から世界の水へ」
監修・編集・著者名徳仁親王 著
出版社NHK出版
出版日平成31年4月4日

昨年5月1日に平成から令和へと元号が替わり、新天皇が御即位なされました。
そして、報道ニュースなどでご周知のとおり天皇陛下は長年にわたって、水問題の研究者として活動を続けておられます。
昭和55年、陛下が浩宮殿下時代に「水」の大神様「白山」に登拝された事は大変有難いことでありました。
「水」は全ての生き物が生きていくために欠かすことができないものであり、山歩きの折に口にする水のおいしさを有難く感じていらっしゃいます。
陛下は、水関連の活動を「時代に即した新しい公務」と位置付け、海外で行われる国際会議にも積極的に参加され、渇水や衛生、津波災害など幅広い分野に関心を寄せ、水専門家としての講演は国際社会からも高い評価を受けていらっしゃいます。
今回紹介させて頂く書籍は、皇太子時代のご講演の記録で日本中世の海上交通、イギリス・テムズ川の水上交通史などの研究から、やがて世界の水問題に関心をもたれた記録です。

白山・黒ボコ岩に登られる天皇陛下(浩宮殿下の頃)

この「水運」から「水問題」へと関心が広がったのには、2つの体験が原点にあるそうです。
その一つは昭和55年学生時代にタイ王国を訪問されたとき、水道の水を直接口に出来ない国が存在するということ。もう一つは昭和62年にネパール国へ訪問された時、多くの女性や子どもたちが蛇口から出るわずかな水を求めて遠い道のりをかよい、水を汲む姿に出会い、『甕を一杯するにはどれくらいの時間がかかるのだろう。女性や子供が多いな』など、この光景が陛下が水問題に取り組まれる原点となっているそうです。
『人々が歴史的に水とどう向き合い、水災害などに対し人々が出した知恵や「思い」が、水に携わる方々に伝わり、世界の水問題への取り組みの参考となるように。そして、水問題は、世界の紛争、貧困、環境、農業、など様々な分野に関わってきます。これらの問題に関心を持つことができたことは、私の視野を大きく広げてくれた「水」に感謝しています。日本はもとより、世界で困難な状況に置かれている人々に、今後とも心を寄せていきたい』と述べられています。
ぜひ、ご一読頂いて、陛下の思いを知り、身近な所から「水」を大切に使用することに心がけていきましょう。

(記 田中天善)