白山比咩神社の「豊年講寄稿「自然災害で農業被害深刻化」」を掲載しています。

トピックス

トピックス

トピックスの詳細

豊年講寄稿

(令和2年11月)

「自然災害で農業被害深刻化」

野々市農業協同組合 代表理事組合長  西村 信夫

西村 信夫 最近農家の人達が集まると、「今年の野菜は良くない」「果樹が甘くない。数が少ない」等、自然を相手にした農業の難しさが話の中心になることが多いそうです。
地球規模の気候変動によって、台風や洪水、干ばつなどの自然災害が、頻度を高め、その被害は広がる一方です。日本の状況を見ても、今後50年に一度の豪雨による洪水被害が発生する確率は、現在の3、4倍に増えるとの予測もあるそうです。それだけに、多大な被害に苦しみながら、「日本の食を守る」ために、再建等に取り組もうとしている生産者の後押しは、何よりも重要なことではないでしょうか。
「災害列島」の日本では、政府や自治体などの防災計画の見直しが進められていますが、全国各地で自然災害による深刻な農業被害が相次いでいます。「いつどこで、どのような被害が起こるのか」という予測が立てにくい状況の中で、自然災害に対する一層の強力な備えが求められています。
今年は特に、新型コロナウイルスと日照不足に翻弄され、大きな打撃を受けてきた日本の農林水産業は、7月に九州や中部・東北地方など全国各地で梅雨前線の影響による記録的な大雨で、多大な被害を被りました。今後も台風や異常豪雨などによる被害が拡大することが懸念されています。
毎年のように日本列島を襲う自然災害に伴う農業被害の増加は、農業生産者や産地に深刻な影響を及ぼしています。度重なる負担増から、農業から離脱する動きも顕在化しつつあります。それはまた、日本の食料に対する安全保障に大きな影を落としています。
気候変動による異常豪雨や台風・日照不足などの被害が続出する中にあっても、食料安全保障を強化する対策の構築が必要となっています。
政府として対策は実施しているとは思いますが、日本農業を守ることに全力を上げる農業生産者・産地に寄り添い、具体的な支援策を協力に実行してほしいものです。
最後になりますが、白山に守られた加賀平野は今年も大きな被害もなく、毎年のことながら白山比咩神社の大神様の御加護に深く感謝申し上げますとともに、いつどう影響するかわからない自然災害に対し、万全の対策を検討しておきたいものです。